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インターネットで何ができる?

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2016年美少女ゲーム総括

2016年美少女ゲーム総括は、思ったより佳作揃いの年だったと言えるだろう。 一時期増えた「イチャラブ」は健在なるも、シナリオに力を入れた作品の復権も見える。 中堅ブランドの復権もあり、また衰退する中堅もありで、全体的に良好な市場循環が見られた。 新規ブランドの活躍もそこそこある。

 

となんとも「ド安定」な一年だったと締めくくれる。
一時期揺れていた「学園ファンタジー責め」から開放されたことも大きい。
爆死するラノベアニメの惨状を見れば、あのジャンルに手を出すブランドも減るのは道理だろう。
おかげで、質の底上げがなされた。

 

ある種、産業として成熟の域に入った感がなくもない。
この安定感は「官能小説市場的」であり、確かに色々なエロシチュというのはあれど、シナリオとして<革命的>なものは一つとしてない。
オーガストも旧態依然とした「(中華)ファンタジーもの」に小さくまとまっていた。

 

かつて目を引いた「人類壊滅もの」(ディストピア?)とか「デスゲームもの」とかも、漫画やフリーホラーゲームの後追いに焼畑され尽くしており、アキバ系エンタメ市場全体に停滞感がある。
逆に美少女ゲームは、その停滞の中で「強いエロ」という要素を存分に発揮していると言えよう。

 

変化として、女性キャラクターの生々しさが(美少女ゲームにしては)上昇した、ということが言える。写実的になったというか。
現実が美少女ゲーム化したのか、美少女ゲームが現実に近づいたのかは分からぬが、セリフが「声優ラジオトーク的」になっているのが特徴だと言えよう。

 

昔は美少女ゲームキャラを言えば「ツンデレ」などのかなり特異なキャラクタライズというのがポイントだったが、より「密」なコミュニケーションが志向された結果として、「アイドル声優的なキャラ」が増えたように思う。
ラブライブの影響があるのかもしれない。あれは声優とも密接に繋がっていた。

 

美少女ゲームから「新しい物語」が出て来る気配は微塵もないが、ポルノとしての安定感は得ている。
いずれにしろ、アニメ・漫画といったコンテンツの表現上の最先端を2016年も牽引したのは美少女ゲームだったということが言えよう。2017年も恐らくは大きな変化がない限りそうなるだろう。

 

また何よりも大きな変化は新海誠の超絶大ヒットが挙げられる。

これは別の場所では書いたことだが、「君の名は。」のヒットは、美少女ゲームの勝利を象徴する出来事だった。

それがいいのか悪いのかは分からないが、ともかくも「君の名は。」はヒットして「しまった」。

それはむしろ、新海誠にある「美少女性」を前面に押し出したことによるヒットだった。

それは、我々が「美少女ゲームとは何か」ということを改めて考えるきっかけになる、大きな出来事だった。

ほとんどの人が「新海誠美少女ゲーム」というものについて語っていないし、もちろん、テレビで新海誠が紹介される時に美少女ゲームの歴史は「抹消」されている。しかし、これは、言うまでもなく美少女ゲームの勝利なのである。

テレビがAKBとして、美少女ゲーム的なものに完全に屈服した後に、やはりアニメ映画も全く同じものに屈服したのを見ると、本当に「美少女ゲームとは一体、何者なんだ?」という気分になる。

我々は、とんでもないものを手にしてしまったのかも知れない、ということは別のところで書いた。

この「美少女ゲーム」が、次々と日本を呑み込んでいく様には、(私ですら)どこか薄ら寒いものすら感じる。のである。